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僕『レイチェル』は、そっとペンダントと十字架をその少女に返した。 何が起きてるんだろう。 何もわからない。 何も思い出せない。 急に再び恐怖が押し寄せてくる。 その時、ただ白いだけだったコンクリートの壁の一部が、音をたてて開いた。 『…っあらあら、なんて可愛いのでしょう!こっちにおいでなさい、そんな汚らわしいものの近くにいたら駄目よ!』 開いたコンクリートの所から、女が癇癪を叫びながら入ってきた。 その女は一般的には美人、なのだろう。 真っ白なはだ、金色で揺れる長い髪。 目には宝石のような緑が輝いていた。 呆然と立ち尽くしている僕にそっと近づき、耳元で呟いた。 『あなたほど完璧な子はいないわ、ほら、すぐに準備なさい、もう出発するわよ。』  
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