チョコバット

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「ん、うまい。良い味付けだ」 「あらぁ、そうですか?」 「ああ。やはり卵焼きはダシに限る。砂糖なんかを使った甘い卵焼きは邪道としか言えん」 「…………。」 待て。 まだだ。 「ふふ、うれしいです。この子は食べる時も無愛想な顔してるから、美味しいかどうか心配で」 「抜群に美味いな。毎朝こんな良い物が食えるとは、うらやましい限りだ」 「だって、仙利。お姉ちゃん自信ついちゃった」 「食が進む進む……お姉さん、おかわりはもらえるか?」 「お姉さんじゃなくて、明でいいですよ?仙利が中学までのお友達以外を連れて来るのは初めてなので、私も嬉しいです」 「そうですか。まぁ仙利とは仲良くさせ」 「おかしいだろォ!!」 限界だ。 食事中は騒ぐなって親父や母さんに小さい頃から言われてきたが、さすがに今は我慢できなかった。 いつもは姉ちゃんと俺しかいないはずの朝の食卓に、何故か混じり込んでいる一人の変態。 間違い探しにしちゃ簡単過ぎる。 「どうした仙利。何がおかしい?まぁ確かに何かがおかしいくらいに美味過ぎるがな、この朝ごはんは」 「ふふっ、お上手ですね。そんなに褒めても私はおかわりしかあげられませんよ?」 「なんで馴染んでんだよ!?」 ちょっと待てよ! 朝リビングに来て違和感を感じた。一人多い。だけど姉ちゃんはいつもと変わらないように朝ごはんの準備をしていた。 食器が一人分多い事を除いて。 「お前なんで家にいるんだよ!?なんで飯食ってんだよ!?なんで姉ちゃんはつっこまないんだよ!?」 「仙利……食事の時は騒ぐな」 「お前のせいだろ!!」 「それに忘れたのか?俺はあの後、ああ言っただろ?」 「あの……後……?」 昨日の、不良を追い払った後。 確かに俺はこいつと話を……―― 「――……俺を、殺す?」 抹殺する。 真顔全裸で恐ろしい事を言い出す変態を見上げながら、座り込んでいた俺は尋ねた。 「最も悪い、最悪な、ワーストな場合そうなる。だが俺は未来から来たから捕まらないといっても、人殺しなんてしたくねぇ……」 「待てよ。お、俺はお前が未来から来たって話すら信じてないんだぞ!」
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