変化の兆し

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「落ち着けよ」 「事の元凶である貴様に言われるとはな……」 キッと俺を睨みつけてくる針浦。 「……俺まだ課題終わってないから行くわ。じゃあな」 「待て橋口」 周りからの視線が少し気になってきたので俺は少し無理矢理気味に話を切り上げようとすると、再び針浦から呼び止められた。 あんまり俺みたいな奴と話してる所見られない方が良いと思うけど……注意ならまた別の話か。 「課題か……。学業面で言えば、お前は優秀な筈だ。何でわざわざそんなに素行を悪くする?そんなに口が達者なら友人だってもっと沢山……」 こいつ俺が友達少ないって言いたいのか?決して多いとは言わない、っていうかこの学校じゃ確かに少ないけどさ……。 「お前が珍しいんだよ。俺だって友達くらい欲しいけど、皆俺を避けてんだ。一年の時も一緒だったから分かるだろ?最初は俺も授業サボるなんて有り得ないって思ってた。でもいつの間にかサボりも当然だ。勉強してんのは、楽しい楽しい高校生活は諦めても将来までは諦めてないから。そんだけ」 「諦めるには早いだろう。まだ二年生の4月だ。新しいクラスになったばかりの今なら」 「だから。皆イメージでもう俺がどんな奴か判断してんだ。今ならじゃない今さらだ」 「…………。」 会話が無くなり、嫌な空気が流れる。何を話してんだ俺は。 自分でも言い訳ばかりしているような気がして、俺は何も言わずに針浦に背中を向けた。 「……馬鹿者め」 去り際に針浦はそう小さく呟いた。 聞こえてんだよ、馬鹿。  ◇ ◇ ◇ 「よーっし。じゃあ明日は……あれだ、あれ。何だっけ。そう!放課後先生達の会議があるから短縮授業!そんだけ……だよな。よし、のぼり号令」 「起立。礼」 「また明日なー」 学校が終わった。 書く事が一つも無いようなつまらない一日だ。 今日は4時間目と昼休みを屋上での昼寝に費やしたので授業中の居眠りも無く、従って放課後まで寝てしまうという失態も無かった。 これで誰かさんにガミガミ言われながら起きる最悪な寝起きも体験せずに済む。
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