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部屋に戻った。
冷たい布団。
何だか急に現実に戻されちゃった。
郵便受けを覗くと、恭子からの結婚式の招待状が届いてた。
封を開けて結婚式の日付を見ると……
やだ
啓子さんと同じ日じゃん。
どーしよ。
どっちかしか行かれないわよね。
あたしの身体、ひとつしかないもん。
大安吉日かぁ……
そりゃ重なるわよねぇ。
仏式じゃあるまいし、結婚式場で仏滅なんかにやったりしないもんね。
結婚式に出るのも久しぶりだわ。
どっちに出ようかしら。
付き合いの長さなら啓子さん。
こっちに出てきてもう結構長いから。
でも……
封筒を裏返してみた。
恭子の名前と連名で書かれてた苗字を見て、あたしやっと気付いたんだ。
あれ。
これ、先輩じゃん。
そっかぁ……
先輩の成れの果て掴まえたのね。
そうなると、だ。
こりゃやっぱこっちでしょ。
お幸せにね。
出れなくてごめんね。
そう言って、両手に持った招待状の片方を、あたしはゴミ箱に投げ捨てた。
≪了≫
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