12月のカレンダー

7/7
前へ
/7ページ
次へ
 部屋に戻った。  冷たい布団。  何だか急に現実に戻されちゃった。  郵便受けを覗くと、恭子からの結婚式の招待状が届いてた。  封を開けて結婚式の日付を見ると……  やだ  啓子さんと同じ日じゃん。  どーしよ。  どっちかしか行かれないわよね。  あたしの身体、ひとつしかないもん。  大安吉日かぁ……  そりゃ重なるわよねぇ。  仏式じゃあるまいし、結婚式場で仏滅なんかにやったりしないもんね。  結婚式に出るのも久しぶりだわ。  どっちに出ようかしら。  付き合いの長さなら啓子さん。  こっちに出てきてもう結構長いから。  でも……  封筒を裏返してみた。  恭子の名前と連名で書かれてた苗字を見て、あたしやっと気付いたんだ。  あれ。  これ、先輩じゃん。  そっかぁ……  先輩の成れの果て掴まえたのね。  そうなると、だ。  こりゃやっぱこっちでしょ。  お幸せにね。  出れなくてごめんね。  そう言って、両手に持った招待状の片方を、あたしはゴミ箱に投げ捨てた。   ≪了≫
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加