君の優しさ

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君の優しさ

君の小さな手が僕の小指を“キュッ”と握る いつも大股で速足な僕はその仕草でハッとする “また考え事してたでしょ?”笑う君 “ゴメン”謝る僕 いつもの悪い癖 今から君を見送りに行くのに 離れたくなくて… でも何て言ったら良いか分からなくて… 考えてたら速足になってた ゆっくり君の歩調に合わせ 君の手を握り 僕のポケットに二人の手を入れる 君は僕を見上げ嬉しそうに微笑む 君の乗る電車が近づく 寂しくて 切なくて でもあったかくて一緒にいれた事が幸せで 複雑な時間 後少しだけこうしていたいな 抱きしめたいけど 恥ずかしくて 人前じゃ それも出来ない… そんな僕の気持ちを察した様に君は スルリと僕の手を離し 僕の頬にキスして “またね”といって 閉まる電車のドアに吸い込まれていった… 閉まるドア 入口に佇む君 (ゴメン意気地無しで…) 無言で見つめる僕をみて (そんなこと解ってます)って言うように 君は小さく舌をだして笑った その笑顔で僕は笑顔になれた 次に逢えるの 何時になるか分からないのに… 最後迄君は僕を気遣って ありがとう いつも優しさを ありがとう 僕を解ってくれて
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