Blue Story

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「・・・・・!!」 入ってきた人物を見た瞬間、 思わず「げっ」って 言いそうになった。 頑張って口を閉じたものの、 顔が引きつったまま。 ――目が合ったため、 彼も私に気付いている。 ぎこちない雰囲気の中、 彼の足音が響いた。 …長鳥 海(ながとり かい)。 それが彼の名前。 授業態度は悪いし、 校則違反はするし、 私にとって 一生 関わりたくない人。 でも昼休み、いつも 屋上にいたのかな…? だとしたら今、彼に関わっているのは私の方だ。 ――足音が近づく中、 急いで広げたお弁当を戻す。 でも何でこっちに来るの? 普通、なるべく離れて 食べようと思わない? 私が片付けているから…? やっぱり、嫌い…。 私は片付いたお弁当を 右手に持って、 勢い良く立ち上がった。 そしてそのまま走って 彼の横を通り過ぎる。 ――だけどその瞬間、 左手をつかまれた感覚。 足が、勝手に止まる。 「…え?」 私の情けない声が響いた。  
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