十三番目

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短い唸りを上げて喰らいつこうとする合成獣の顎を、体をねじるようにしてかわす。酷く体が痛んだがそんなことは言っていられない。その体勢のまま爆発の推進力を乗せた蹴りを下顎にくれてやった。しかし、ひるませるどころかこっちの足が砕けるような思いがした。とんでもなく堅い。 「普通の魔法生物ではありませんからね。足は大丈夫でしたか?」 けたけた笑う声が耳に障る。 俺の反撃に怒る訳でもなく、合成獣は再び俺を狙う。鋭い爪を剥いて前足を振りかぶった。 「この野郎っ!」 顔を狙って火の玉を打ちこんでやると、流石に堪えたらしく頭を振って後ずさった。これいけると思ったのもつかの間、今度こそ怒らせてしまったらしく、翼を広げると大きく飛び立った。俺を中心に巨大な有翼の影が旋回する。まずい。  弄ぶような滞空時間が俺をじわじわと恐怖に陥れていく。 「ははははは! お似合いですよ!」 うるさい、と言おうとしてせき込んでしまう。思っているよりよっぽど酷いらしい。俺の姿をまじまじと眺めながらクラウスは、ところでと切り出した。 「あなたは自分が恵まれていると思ったことはありませんか?」 どういうことだ……。 「ことの発端はお前が学院に合格したことからです。不合格となった人間の中には、お前より優秀で優れた家柄を持った者は五万といました。それなのにどうしてお前が選ばれたのか。不思議に思いませんでしたか?」 それがどうしたって言うんだ……。 「それでは、どうして特別優秀な家柄の人間ばかりお前に興味を持ったのか考えましたか。お前に居場所など用意されていなかったというのに。道端の小石に興味を持つなどという不自然な行為に疑問を抱かなかったのですか?」 聞きたくない。しかし、クラウスはやめない。
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