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「どうして考えることを拒むのです。どうして自分が常に渦中にいたのか、考えなかったとは言わせません。たまたま? 誤魔化すのはやめなさい」
俺は俺で、どこまでもただの人で、ただの家庭に生まれて、死んでいく。それだけだと思っていた。これからもそれは変わらなくて、変わるわけはなかった。
「どうして悪魔と渡り合う力があるのか。どうしてリベリオンはお前を蝕んだのか。どうして十二賢者の子孫がお前の元に集ったのか。どうして。どうして。どうして理解しようとしない!」
クラウスの言うことなど耳に入れたくなかった。こいつは信用できない。
しかし、俺が辿ってきた歪な軌跡は真実へ繋がる。
───十三個目の回答欄。 あれは答えを俺たちに求めていたのだ。
───俺にしか使えない悪魔を封じた指輪。 学院長も知っていたのか。
───アレス、といって俺に跪くルミア。 人間違いではなかった。
───ヴァンガードの末裔か。 ベリトは俺の一族を知っていた。
───悪魔を滅ぼす力。 これが生み出されたのは対抗しなければならないからで。
───俺が執拗に狙われた理由。 奴らは気付いていたのだ。
俺の元に十二賢者の血は凝集し、俺を待っていたかのように歴史は紐解かれた。これが運命というならば一つの答えに帰結する。
歴史から抹消された賢者。悪魔を宿し、その身はミーア・アルテミスに討たれ、しかしその血は連綿と続いていたのだ。この時代まで隠れ、ずっと。エルノアは言った。
───あなたが考え、そしてこれからの身の振り方を決めなければならないのです。
「違う……そんな訳がない」
俺が十三番目の名を得られなかった賢者の……。
悪魔を宿した人間の……。
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