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これで何人目かしら。急に会場になだれ込んできた意味の分からない奴らを手当たり次第に片付け、あいつを探す。
この緊急事態に困っているかもしれない。そう思うと自然と足取りが早まる。あいつは、あたしの傍に置いておくと決めた。これだけは誰にも譲らない。
「うっとおしいわね」
急に影から飛び出て来た奴へ放射状にした電撃を浴びせ、その動きを鈍らせる。あとは赤子の手をひねるようなもので、銀玉を打ちこんでやれば大人しくなる。
あいつはどこに行ったのよ。試合が始まって途中まで尾行していたのに、酷く滑稽に思えて止めたのは失敗だったかしら。ああ、また馬鹿がやられに来た。
そうしていると、ひときわ大きい爆発音がする。こんな大規模な顕現はあいつじゃない。それでも、巻き込まれていたとしたら……。って、どうしてあたしが心配しないといけないのよ。そう思いつつも足はその方向へと向かっていた。
なにも無ければそれでいい。それで、いい。
「この野郎っ!」
聞こえた。あいつの声だ。それに続いて、空に見たこともない生物が飛び上がるのが見えた。あいつは助けを欲している。それならば、あたしが手を差し伸べて……。
その時だった。酷く不吉な気配があたしを包み込む。隙だらけだったことに気がついて、足を止め不意打ちに備えるが、その様子はない。気を張り巡らせてみれば、どうやらその相手はあたしではなかったようだ。しかし、こんなものを誰が。そこで思い出した。休暇に入る前に、あいつが呼びだしたものを……。
走った。不安はまだ大きくなり続けている。またあんなものを呼びだしてやしないか、あいつがどうなってしまうのか分からなくて、怖くて、走った。
「ルナサ、来るな!」
あいつがそう叫んだ。
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