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「結構です。あなたがたの協力が得られるならば、我々の計画も軌道に乗るでしょう」
「その前に、だ」
俺には確認しておかなければならないことがあった。
カイトさんの屋敷を襲った者は、身なりからしてこいつらの一派で間違いないだろう。これまでの粘着質な急襲も間違いない。しかし、ロアの件に限ってはいずれも主犯が見えてこない。首都に着いたその日も、学院内で酷い傷を負わされた日も、その犯人の姿は目撃されていないのだ。学院内でロアを襲った者をはっきりさせておきたかった。返答如何によっては、俺はこいつらを許さない、どんな理由があろうともだ。
「分かっております」
全てを見透かしたように彼女は微笑んだ。
「ロア・エルドラドを襲ったものを知りたいのでしょう」
黙って話を聞いていたルナサが身構える。次の一言によってはここでひと暴れするつもりだろう。それは俺だって同じだ。
「そう構えずとも。その件については、私は感知しておりません」
「感知していない? どういう意味よ!」
今にも掴みかかりそうなルナサを制して、俺はアリカに向き直った。
「どういう意味だ?」
凄みを効かせたつもりだが、淡々とアリカは言った。
「我々とて一枚岩ではないのです。目指すものは同じなれど、その過程については意見が分かれております。所詮、我々は烏合の衆。組織として成り立っていないのです」
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