休暇の憂鬱

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   親父は仕事で、書き置きによると母さんは買い物。家には俺一人で静まり返っている。呑気に寝ていた俺には昼飯などなく、空腹を主張する腹を黙らせたくなってきた。  ルナサからの荷物には手を付けず、俺は財布だけを持って家を出る。世間は聖ミーア・アルテミスの生誕祭の準備に慌ただしく、どこもかしこもきらびやかな飾り付けで目が痛い。近所にあるバーミリオン別邸も例外ではなく、その権威を見せ付けるように盛大に飾っていた。  その別邸の主は今は本邸に居るだろうに、金の無駄遣いもいいところだ。  財布はそれなりに肥えているが、物価の高い都に戻れば瞬く間にやせ細るのが目に見えている。見栄もあるし、今は質素倹約の時だ。軽いものでも食べて引きこもろう。  御用達である庶民の財布に優しい店に踏み入った時だ。  閑散とした店内の隅に、今時流行らないピンクの頭を見付けた。  まさかの、王女。  唸る金銀を蓄えた王族が、こんな庶民派をウリにした店に居るのはおかしいだろう!
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