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肩越しに王女を見ると、先に息が上がってしまったようで足元がもつれそうになっていた。必死で走るあまりに視野が狭まり注意が散漫である。それまでは難無くよけていた資材にぶつかりそうになったり、舗装されていない道に転びそうになったりで危なっかしい。
かく言う俺も足にきていて、道を跨ぐように置かれていた材木を飛び越えた際に転びそうになった。
「ま……待ちなさい!」
王女が声を上げた時だ。俺が飛び越えた材木に王女は足を取られ「ひゃっ」と悲鳴と共に派手に転倒。その拍子に、道沿いに積んであった荷物が揺らぐ。
俺には未来の軌跡が見えた。
崩れる荷物がどのように王女に振り落ち、更に回りを巻き込んで惨事を引き起こすか。そのビジョンが瞳へ明確に描かれる。
あぁ、もう。自分の体力の限界ぐらい見極めて欲しいよ!
町中で元素魔法を使うのは倫理に反するが、致し方ない。手を地面に着き身を低くして方向転換。更に足下へ爆発を生み、瞬時にして王女の元へ。体勢を直させていては間に合わない。担ぎあげるとそのまま離脱。倒れて来た荷物にぶつからないように軌道修正を混ぜつつ、安全地帯へ逃げる。
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