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「ふぅ」
「す、凄いですね」
義眼の力に感謝。これが無ければ今頃王女は荷物の山の下だったろう。怪我では済まなかったかもしれない。
「さて、それでは」
さぁ下ろせとばかりにもぞもぞしだした王女。今さらだが、女の子の体の柔らかさに感動していたので少しだけ口惜しいが、離さないと説教が長引く。
よいしょ、と下りた王女は小さな体から威圧感を放ち俺の前に立つ。二度も逃げたらこうもなる。また逃げたいが、次は後ろから魔法でも撃たれかねない。
「何故逃げたのですか?」
どうして逃げたか? そんな事も分からないのか。
「嫌いだからだ」
「き、嫌いだから!?」
人の気持ちが理解出来ないくせに、人の気持ちを説く。そんなことは許さない。王女を助けたこの目は、クラウスによって失った物の代替物だ。
便利なのは認めるし、俺もこれには助けられた。それでも、俺は自分の体の一部を失くした事に変わりない。そんな人間に、王女サマは、お前は何て言った。
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