act1:徒夢

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 私、どうなったの?  自分が今どういう状況なのかわからない。  撮影をしていて、それから?  誰かが叫んだことは覚えている。  現場が凍り付いたあの空気も。  それから?  何かが降ってきた。  その後は?  わからなかった。  気がついたら、今、この現状だ。  顔に包帯。布団に寝かされている。  行き着く答えは一つしかなかった。  多分ここは病院だ。  そう思うと微かに消毒液の匂いがした。  不意に、足音が近づいてくるのが聞こえた。  出せる範囲で、一番大きな声を出した。目のあたりがひきつる。 「すみません。誰かいませんか?」  自分で思ったよりも声は弱々しかった。  それでも十分だったらしく、足音がこちらに向かって、パタパタと近づいてくる。 「あの、ここは……」 「気づかれたんですか? 今先生呼んできますね」  尋ねようとした声はその人の早口な言葉でかき消された。足音は忙しそうに遠ざかっていく。  女の人の声だった。多分看護師だ。  足音が聞こえなくなって、誰の気配もしなくなる。
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