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「どうでしょうね。正しく使いこなしていただければ、永遠の幸せの中、微睡んでいられるでしょうけれど」
そこで言葉を切る。
浮かべていた微笑を引っ込めた。
無表情になると道具屋のそのつくり物めいた容貌がより際立った。
男かも、女かもわからない、整った顔。
細い体は黒い服で覆われている。
髪は黒く、肌は白く、唇は赤い。
たった三色で構成されているように見えた。
「まぁ、無理でしょうね」
無感動な響きは寒々しく、氷のようだ。
「この店に来た人間はけして幸せにはなれないね」
ジャックは先ほど晒した子供らしさを忘れさせるような、大人びた笑みを浮かべた。
「幸せなんて様々ですよ。気づかないということが幸せであることだって、その逆だってあるんですから」
何かを揶揄するように、道具屋は言った。
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