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「どこに行くの?」
手を引く少女に私は問う。
彼女は反対の手ですぐ目の前を指す。
いつの間に。
目の前にはこじんまりとした店があった。看板には『夢盗人』と書かれてある。
ショウウィンドウにはガラス細工や見事な装飾が施されたスタンドなど、美しい小物が並べられている。 店内は薄暗く、外から中の様子を伺うことは出来ない。
「道具屋のところよ」
少女はその言葉とともに、OPENの札がかかった扉を開けた。
「いらっしゃいませ」
チリン、と鳴ったベルの音とともに、凛とした声が聞こえた。
店内には黒い上下を着た男性が一人立っていた。他には誰もいない。
その人は暗がりの中でもわかるほど肌は白く、恐ろしいほど整った顔立ちをしていた。もしかしたら女の人かもしれない。背は高いけれど、線が細い。
この人が道具屋だろうか?
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