act1:徒夢

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「あの、ここは何のお店ですか?」  こんなことを聞いては失礼だろうか。  そう思いつつも聞いてみる。  私の心配は杞憂だったようで、その人はこともなげに答えた。 「ここは道具屋ですよ。私は店主です」 「道具屋?」  聞き返すとにっこりされた。  笑うと印象がぐっと柔らかくなる。 「お姉さん、叶えてもらいたい夢があるんじゃない?」 「えっ?」  突然の第三者の声に肩がびくっと震えた。  心臓がすごい早さで脈打つ。  誰?  声の方を振り向くと、男の子がソファーでくつろいでいた。高校生ぐらいの男の子だ。  薄暗いせいで顔はよく見えない。  さっきまで気配もなかったのに。  まったく彼の存在に気づかなかった。  それだけ店の空気に同化していたということなのだろうか。 「ここにはどんなモノもあるんだよ」  男の子は私をまっすぐ見ているようだった。  視線を感じる。 「たとえば、綺麗になる秘薬、とか」
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