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「あの、ここは何のお店ですか?」
こんなことを聞いては失礼だろうか。
そう思いつつも聞いてみる。
私の心配は杞憂だったようで、その人はこともなげに答えた。
「ここは道具屋ですよ。私は店主です」
「道具屋?」
聞き返すとにっこりされた。
笑うと印象がぐっと柔らかくなる。
「お姉さん、叶えてもらいたい夢があるんじゃない?」
「えっ?」
突然の第三者の声に肩がびくっと震えた。
心臓がすごい早さで脈打つ。
誰?
声の方を振り向くと、男の子がソファーでくつろいでいた。高校生ぐらいの男の子だ。
薄暗いせいで顔はよく見えない。
さっきまで気配もなかったのに。
まったく彼の存在に気づかなかった。
それだけ店の空気に同化していたということなのだろうか。
「ここにはどんなモノもあるんだよ」
男の子は私をまっすぐ見ているようだった。
視線を感じる。
「たとえば、綺麗になる秘薬、とか」
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