第一章

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俺達は、電車で1時間半くらいかかる街へと足を運んだ。そして、俊也が事前に調べてあったおかげで迷うことなく、そのアパートへたどりついた。 そこは、ものすごくボロボロでうちのアパートより全然汚い。 上には上がいるもんだな…、いやこの場合下には下がいるもんだな~の方が適切かな? 「この部屋だね…」 もうこのアパートにはだれも住んでおらず、簡単に部屋へ行くことができた。 中に入ると、俺達は思わず鼻をつまんだ。ものすごい腐臭が漂ってきたからである。あたりには何か動いている気配がある。蛆虫だろうか…。 それからゆっくり奥に進むと、一つの椅子があり、いたるところに黒く変色した血の跡が残っていた。 どうやら、その椅子に縛られていたようでその椅子の裏に爪で助けて助けてと掘ってあった。それはところどころ血で滲んでいる。俺は、この場所に一人監禁されていたその少女の事を思うと、寒気がしてきた。 俺がもしそんな立場だったら…、いや考えたくない…。おなかもホントにすいていたようで椅子の背もたれのところどころに歯形がついていた。木でも食べようとしたのだろう。
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