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俺はこの部屋にこれ以上いたらおかしくなるような気がしてすぐに飛び出した。
「何も手掛かりが見つからなかったね…」
俺達は、ぼんやりと階段の段差に腰掛け、話していた。
せっかくここまで来たのに、全く情報を得られなかった。
ただ怖さが増しただけだった。
「君たち、何をしているんだ…」
突然、野太い男性の声が聞こえてきた。
俺達は慌ててその声のする方を見ると、少し太った男性が腕を組んでこちらを見ていた。
「ここは、もう取り壊すんだ…、勝手に入らないでくれ!」
その男性は、うっとうしそうに俺たちを追い払おうしてきた。
でもここで引き下がったらホントに意味のない一日になってしまう。
「あの、このアパートでなくなった少女の事を知ってますか?」
理恵も、同じ思いをしていたようで、そうその男性に聞いた。
すると、彼の動きが一瞬止まった。
「美佳ちゃんになんのようだ?」
その男性は、こちらを睨みつけるように聞いてきた。
それにひるんだ理恵の代わりに俊也が口を開いた。
「しってるんですね?じゃあその子にまつわる都市伝説は知ってますか?」
「お前らも、そのばかげた話を信じてるのか?帰れ!そんな奴らに話すことなんて何もない!」
その男は、どうやら真実に近い何かを知っているようだが、何も教えてはくれそうにない。
「その話と同じように、友達が一人死んだんです…、お願いします!」
そう続けて頼むが、彼は聞く耳を持たず去って行ってしまった。
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