第一章

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「それに…あの男…」 そこまで彼女は言いかけると、はっと、いつもの状態に戻って 「あ、今のは忘れてください!」 すごく続きの言葉が気になったが、ここは聞いてはいけないような気がして俺は何も追求しなかった。 そして、彼女は話しを続ける。 「えっと、だから、あの子の事は親からもらった時計を大のお気に入りだったというくらいしかわかりません… あっそれと、発見された直後はまだ息があったみたいなんです。 そして弱々しい声でお時計さん返して…と呟いたようなんです。」 これでつながった 彼女のお姉さんが言ったことはどうやら事実で、時計を探したがっていたのも本当のことだったようだ。 「それと、彼女のお母さんにお父さんも、美佳が亡くなって直後、足取りがつかめなくなって、警察総動員で捜査に当たるも発見はできなかったんです」 親が消えた。 いや、恐らく死んでいるのだろう。 なんせ彼女にとって見殺しにされたようなものだろうから。 「教えてくれて、ありがとう…」 俺はそういうと、ゆっくりレジの仕事に戻った。 安藤さんも軽く頷くと、商品を並べなおす仕事を再開した。
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