第二章

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「私、やっぱりあなたの事が…」 「俺も君が…」 二人の少年と少女が向かい合い、ゆっくりと唇を重ねた。 そして、音楽が静かに流れだす。 つい俺も引き込まれてしまった。 いい話だった。 ふと隣の席を見ると、号泣している安藤さんの姿が…あはは、こんなに泣くんだ… 「よかった~」 ここは、近くの喫茶店。 安藤さんはようやく泣きやみ、びしょびしょになったハンカチをたたんでいた。 「あの話、俺も気にいったよ!」 「ホントですよね~見たかったんですよ~」 俺は軽く笑った。 すると安藤さんは俺の顔を覗き込んできて 「よかった、笑ってくれて…」 「うん…、ありがとう…」 そう言ってくれた、俺達はまた笑った。 こんなに楽しいのはホントに久しぶりだ。 ホントに… 「それじゃ、これでも頼もう~」 「ここは、俺におごらせて!」 「え?悪くないですか?」 「ううん、お礼だよ!」 「ありがとうございます!」 それで、二人は適当にご飯を注文して、それが運ばれてくるまでさっき見た映画の事を語り合っていた。
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