幸福の海

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俺の見る世界はいつも、他の人とは少し違う。 らしい。 俺は、俺の見える世界しか知らないから、「らしい」としか言いようがないんだけど。 目がおかしいのか、脳がおかしいのか、俺には見当もつかないが、「コレ」を「特殊な能力」だとか「超能力」だとか、まるで物語の中のヒーローみたいには、思えない。 だって、そうだろう? ここは、物語の中じゃない。 他人と違うってことは、 ただ、畏怖され、疎外され 失うものばかりだった。 そうやって、生きてきた。 「なんで、俺が」なんて、浸るのは簡単だが それは、やっぱり何も得られない。 何の意味も、ない。 この目にも、 俺自身にも。
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