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カレンは集合時間の3時間前にはすでに来ていた。
一人で山中の階段を上がっていく。
そこにはとても小さな墓石があった。
お世辞にも立派とは言えない。
石を積み上げただけ、といってもいいようなものであった。
「久しぶりにね、ルルーシュ」
カレンは持ってきた花を備え、墓石の隣に座り込んだ。
最後にここに来たのは2ヶ月前。
それ以降は黒の騎士団として、またはアッシュフォード学園の生徒会役員として忙しかったために来れなかった。
その2ヶ月でルルーシュのことを忘れられるかと思ったが、そうはならなかった。
4ヶ月ほど前までは世界の憎しみの中心にいた皇帝ルルーシュ。
カレンも憎んでいた。
それでもあの日の、ゼロに刺される直前の笑顔。
あれを忘れることが出来なかった。
わかってしまった。
彼がしたことの意味を。
この地にささいなものではあるが墓を造り、たまに墓参りに来てしまうのは、かつてルルーシュを愛していたからなのだろう。
「じゃあ…………そろそろ行くね……」
もう少しで皆と集まる時間。
カレンは立ち上がり、その場を離れようとした。
「?」
その時、何かがカサっと動いたような音を聞いた。
黒の騎士団時代の癖で持っていた隠しナイフ入りのポーチを掴んで、威嚇する勢いで振り向く。
振り向いた先には真っ白な光の柱が天高く聳えていた。
何者にも侵されない神聖な感じの光。
あまりの神々しさに、カレンは言葉を失い、ただ単に見ていることしかできなかった。
まばゆい光が徐々に消えていき、柱のあった場所にある人物が見えてきた。
「嘘でしょ……?」
その人物はアッシュフォード学園の制服を着ている。
長身で華奢な体。
そして美形の顔。
ルルーシュ・ランペルージュがそこにいた。
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