第1話

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ガラッと勢い良くドアを開けると再び目眩がした。 ギラギラと私を照りつける、真夏の太陽に。 コンクリートから発せられる、何とも言えない生温い熱に。 夢の中では真冬だったけど、今は真逆の夏真っ最中だ。 本日二回目の溜め息をついて、私は行き交う人々の波に紛れた。 あの“夜逃げ”から半年経つのに時々あの時の夢を見る。 我ながら物凄い事をしたな…とは思うけど、後悔なんてしてない。 私が“夜逃げ”した理由は…とても一言では言えない。 色んなことが積み重なった故の行動だった。 私には『霊力』がある。 霊力は、この世のモノではない物を感じる力。 本に載っているような、怖い顔をした妖怪があちらこちらに見えるという訳ではない。 そんな力を持っているから、小さい頃から色々あった。 学校では当然のようにいじめにあったし、近所からも敬遠されていた。 辛いことばっかりだったけど、その中で私は一つの夢を見つけた。 .
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