Violet

ﾌﾟﾛﾛｰｸﾞ

和樹はｸｽｸｽと小さく笑うと七瀬を見てﾆｺﾘと笑った

七瀬にはそれが含み笑いにしか見えない

｢それは買いかぶりだよ。僕はそんなんじゃない。今日の用事は向こう｣

和樹はﾄﾞｱの方へ指を差し｢おいで｣と言うが一向に現れない
それに苛立ちを覚えたか

｢名指しが良い？ 杞憂｣

いつもより低い声でﾆｺﾘと笑って名指しする
すると、開いたﾄﾞｱの隙間から杞憂が顔を覗かせた

それに七瀬が驚いたように

｢杞憂が俺に用事なんて珍しいな｣

｢まぁ、一方的にだけど……。七瀬、杞憂に仕事を押しつけてあげて｣

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