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公園に近づくにつれて、心臓の鼓動が早くなっていく。手をあてなくても、心臓の動きが感じられる。剣の緊張は極限にまで達していた。
剣「……!」
公園の入り口に長谷中の奴らが二人いた。だが、剣と目が合うと舌打ちをして去っていった。
剣(あいつら…もう、この街でハバ効かせられねーんだな……)
剣は長谷中の奴らの背中を見て、そう思った。
公園には人は皆無で、静寂が存在しているだけだった。
剣(『白髪鬼』はまだか……。約束の時間までは後5分……)
剣は公園内にある時計を見て、公園の入り口に視線をやった。
一分が二、三十分にも感じられた。『白髪鬼』がバイクで来ると聞いていた剣は、耳を澄ませてバイクの音を拾おうとした。
時計の針が約束の時間を指した時、バイクのエンジン音が聞こえた。剣の心臓が飛び上がった。『白髪鬼』が来た。
剣(来た……。ホントに来やがった……!)
できれば、剣としては『白髪鬼』との喧嘩が嘘であってほしかった。
バイクの音は大きくなり、公園に一台のバイクが入ってきた。バイクに乗っている男の顔は見えなかったが、ヘルメットからはみ出ている白い髪の毛が、男が『白髪鬼』である事の証拠になっている。
白髪鬼「おーおー。ホンマに来てくれたんやな。正直、半信半疑やってん」
バイクから降りながら、『白髪鬼』が言った。
剣「俺はあんたを倒したかったんだ。断る理由なんて無いさ」
剣は強がった。
白髪鬼「………。お前もいずれ『弁慶』の脅威になるかもしれへん。その前に…お前を俺らに楯突けへんよーにしたる」
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