剣V.S.白髪鬼

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正喜「おいおーい…。あのバカばっくれやがったのかよ……」 正喜が冷や汗を流しながら後ずさる。『白髪鬼』の怒りを肌で感じていれば当然だろう。 白髪鬼「泣き入れても聞く耳持たへんからな。目が覚めたら病院やで」 『白髪鬼』は早足で正喜に近づいていく。 剣「ま…正喜…逃げろ……!」 ようやく声が出るようになった剣は、絞り出すような声で言った。 白髪鬼「今逃げたって追い付ける。もう……遅いんやって」 『白髪鬼』がお互いに攻撃できる間合いに入った。 正喜「うおぉぉぉおおぉっ!!!」 正喜が叫びながら右ストレートを打った。 ゴッ!!! 正喜の拳が『白髪鬼』に入る前に、『白髪鬼』の拳が正喜の顔面に入った。 正喜「…!………」 まるで鉄球を受けたような衝撃を感じながら正喜は崩れ落ちた。 剣「ばっ……かやろっ……」 白髪鬼「重ーいだけでとろーいストレートか…。不可やな」 ズドォッ!!! 『白髪鬼』の蹴りが正喜の腹にめり込んだ。正喜は苦痛に顔を歪めた後、腹を押さえながら嘔吐した。 白髪鬼「今のはほんの挨拶や。こっからが本番や」 『白髪鬼』が足を上げた時、遠くからバイクの音が聞こえた。 白髪鬼「………」 突然、『白髪鬼』が上げた足を降ろした。 正喜「………?」 びぃぃぃいい 一台のスクーターが公園に入ってきた。 剣「………た、孝信か……?」 剣が震える足で立ち上がった。 白髪鬼「………あ。やっぱお前か」 スクーターが停まり、乗っていた男がヘルメットを脱いだ。 「待ってたぜ。『白髪鬼』ぃ……」 元長谷川中学トップ、前原一樹。
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