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剣と正喜は、自分達に背中を見せている『白髪鬼』からじりじりと遠ざかっていく。そして、5、6メートル程離れた所でダッシュで逃げ出した。
白髪鬼「逃げられへんのに……」
『白髪鬼』はため息をついた。
一樹「あ?何か言ったか?」
白髪鬼「……何も、言ってへんよ」
ズドォッ!!!!!
一樹「………!!!!」
『白髪鬼』の「本気」のトーキックが一樹の股間に入った。
白髪鬼「避けられへんようじゃ、あかんやろ」
股間を押さえながら白目を向き泡を吹いて痙攣している一樹を後にして、『白髪鬼』は剣と正喜の後を追った。
茂みをかき分け、剣と正喜は路上に出た。
剣「どこ行く!?」
正喜「とにかく走ろう!!」
電灯がほんのりと照らす薄暗い街を二人は駆け抜けていく。その二人を嘲笑うかのように、バイク音が後ろから追いかけてくる。
剣「近い……!」
正喜「やばいって…追いつかれる……!!」
十字路が見えてきた時、バイクが曲がってきた。
剣「げっ……」
正喜「お、追いつかれ……」
『白髪鬼』がバイクから降りて、二人に向かって歩いてくる。
白髪鬼「言うたやろ。逃げられへんって。男なら潔く闘わんかい」
正喜「二人がかりなら何とかなるか…?」
正喜が剣の方を見た。その表情は全く自信の無いものだった。
剣「さぁーな…。一発くらいなら入れられるかもな……」
剣も緊張と恐怖で、表情が強張っていた。
正喜「………。一発、入れてみっか?」
正喜がニヤッと笑った。
剣「………いいかもな。このままやられっぱなしも癪だしな」
剣も笑った。
そして、『白髪鬼』も残忍な笑いを見せた。
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