剣V.S.白髪鬼

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帰り道。 正喜「剣ー。いつまでいじけてんだよ」 正喜が剣の頭を叩きながら言った。 その横で、得意気な笑みを見せる草次郎。 剣「だってよー。草次郎が頭いいのは知ってたけどよぉ…俺よりいいなんてムカつく…」 正喜「へん!勉強に対するプライドなんて下らねーし。勉強できんくってもいーし」 大してレベルの高くない中学で、微妙な成績しか取れてない正喜もいじけ出してしまった。 草次郎の笑みがますます広がる。 剣「正喜。草次郎ぶっ殺すか」 正喜「奇遇だな。俺も同じ事を考えてた」 住宅地に草次郎の悲鳴が響いた。 剣は初めて長谷中の奴らに絡まれた道を通りすぎ、帰路に着いた。 佐喜子「お帰りー。汗臭いからさっさと風呂に入ってねー」 母の佐喜子がリビングのテーブルに夕飯を並べながら言った。 剣「年頃の男子に汗臭いはNGワードだから」 剣は佐喜子にツッコミを入れて浴場へ足を運んだ。 風呂に入っている最中に、佐喜子がポメラニアンを投入させたので、剣は一緒に湯船に浸かった。 剣「こんな風に生活できるのも…後少しか」 犬にお湯をかけながら、剣は呟いた。喧嘩を経験し、度胸や自信がついたのは確かだが、まだ中学生である剣は、我が家を離れる事に不安を感じていた。 剣「………よく考えると、今まで親や友達には散々迷惑かけたなぁ……」 この一年を振り返り様々な記憶を思い返すと、自然に口から言葉がこぼれた。 剣「何か…皆にお礼してぇなぁ……」 最後にそう呟き犬を抱き抱え、剣は湯船から出た。 剣がリビングで母親と夕食を食べながら談笑している時、剣の部屋のパソコンに一通のメールが送られてきた。 メールアドレスには『benkei』の文字が入っていた。
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