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剣「でも、遅かれ早かれ、『白髪鬼』と対峙するんだ。今回は負けるかもしれないけど、その経験を次に生かせばいいし」
「『白髪鬼』に認められた」という過信は、むしろ、剣を冷静にさせた。
麗美「クリーンな喧嘩になるか分からないんだよ!?経験が生きるとかそいいうのの前に、剣君が倒れちゃったら……」
麗美の声は怒り声を通り越して、涙声になってしまっていた。
剣「麗美ぃ。俺はまだ、中学生だぜ?多分、向こうは俺がどれくらいの実力があるか見定めに来るだけだって。親父が不良の間で有名な事もあるしさ。『白髪鬼』だって、さすがに逮捕沙汰にはなりたくねーだろ。心配すんなって」
麗美が泣きそうになったのを見て、剣は慌てて説得した。
麗美「心配しないでいられる訳ないでしょ…」
剣「俺だってフェアな喧嘩ができるとは確信してないよ。だから、いざという時の為に正喜に待機してもらうからよ」
冷静になった剣は、『白髪鬼』に対して、甘い考えを抱いてしまった。
『白髪鬼』を怖れていたのなら、正喜ではなく、春木 孝信や東山寺館長を選ぶはずだ。
麗美「………」
疑いのこもった目で剣を見る麗美。
剣「……だ、大丈夫だから。正喜だぜ?な?」
麗美「………」
剣「………」
麗美「………」
剣「………ま、万が一の場合に孝信を正喜に呼んでもらいます」
ここで、やっと麗美が視線を反らした。完全に安心しきった訳ではないが、幾分か安心したようだ。麗美のファインプレーである。
剣(麗美にゃ敵わねー)
剣は肩を落としため息を一つついた。
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