7/11
前へ
/168ページ
次へ
お母さんが作ってくれたお弁当。 卵焼きにウインナーに唐揚げに。 普通のお弁当。 私はこのお弁当が好きだ。 「ごちそうさま」 食べ終えて弁当箱の蓋を閉じた。 「1人なのに、ごちそうさまってちゃんと言うんだ」 勢いよく顔を上げた。 すぐそばに、綺麗に整った男の子の顔があった。 「わっ……」 私はすぐに顔を背ける。 顔が赤くなっていくのが痛いほどに分かる。 「君、1人で食べてるの?」 その男の子は私の前に立ったまま言った。 「うん」 私は小さな声で顔を背けたまま答えた。 チラリと男の子を見る。 やっぱり綺麗な顔で、鼻や目はくっきりしているし、色白な肌は女の子が羨むほどだ。 「なんで?」 男の子は笑顔と真顔の中間みたいな顔でそう聞く。 私は答えるのに少し躊躇う。 素直に、クラスに友達がいなくて気まずいから、と言えばいいのに。 「まぁ何でもいいか」 私が考えてるうちに、男の子は私の隣に腰かけた。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

599人が本棚に入れています
本棚に追加