599人が本棚に入れています
本棚に追加
「君は?」
緋藺くんはベンチに背中を預けたまま、首だけをこちらに向けた。
「咲夜……、加奈……」
「咲夜加奈さんかぁ……」
ん? さん?
「えっと……。緋藺くんて……。1年生?」
「うん。そうだよ」
私は小さな衝撃に襲われ、口をポカンと開いた。
全然そうには見えなかった。顔は少し子供っぽいけど……、なんだろう。雰囲気というか、仕草が大人っぽく感じる。
これで1年生なんだ……。
「どうかした?」
緋藺くんが背中をベンチから離して、私の近くまで顔を近づけた。
気づかないうちに私は、緋藺くんの顔をじっと見てたらしい。
「う、ううん。何でもないよ」
無理に笑ってみる。
でも多分笑えてないんだろうな。
前に笑ったのって、いつだったかな。
「変な顔」
緋藺くんは真顔と笑顔の中間みたいな顔でそう言った。
最初のコメントを投稿しよう!