喪失の発見/

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でも‥これがホントだとしても、ぼくにはなんの関係もありませんでした。 なぜかといえば、ぼくは‥ぼくの過去のことなど、何もおもいだせないからなのです。 このとき、やっとそのことに気づきました。 ぼくはいつからこうなんでしょう?‥そのことについてもまったく覚えがありません。 こんなことって、あるでしょうか? こんなことって、なんとなく‥いつとも知れず‥何時の間にかなってしまうものなんでしょうか? 思い返す以前に、そもそもの記憶なんて。そんなもの‥自分のことなどはまるで払底されていて、これっぱかしも、アタマのなかにはなかったのです。 とにかく、まるきしからっぽなのでした。  
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