パリティ/

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「このくだらない薄っぺらな世界は滑稽なうすバカどもに満ちているが、そのうすバカどもはだいたいおれとおんなじくらいのバカさ加減で生きている。だからおれが毎日バカの一つ覚えで嘆くのは、ほとんど、もうちょっとバカにできるくらいのバカかそれともバカにしてもらってもかまわないくらいの偉いバカがいて、そことおれとのあいだに差別化をはかれないものなのかな、ということなのである。蔓延する平衡化の波は地獄を生む。なぜ地獄かといえばそこから抜け出すことができないからだ。どこまでいってもバカ馬鹿莫迦の大群のあつれき。そのバカのばかばかな波はばかばかと押し寄せ、そこから身をふりもぎろうにも朝起きて鏡をみればそこにもバカがいる。猿真似しかできないバカだが実際の知能程度としてはおれと同じくらいのバカのはずだ。あいつも時系列と対称性から抜け出すことができずに身をよじっているな、ということはわかるから‥そのバカさ加減をみるにつけても同情がこもるというものである。そうだ。おまえのコトだ」  
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