耳垢大王のテーマ/

2/4
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/296ページ
‥鏡像はそのようなことをくちばしりながら、ぼくそのままの鏡像であることを止めていきました。 よく考えれば灯りも携えていない暗がりのなかです。洞の中をくぐっていったのも、そこに何かを認めたのも‥夢のなかにいるより非現実的な情景というにしくはありません。 だから、あの鏡像がぼくのものだったというのもなにかの勘違いかも知れない、とそうおもえば確かにそのような気がしてくるほどです。 とまれ、その像は輪郭を崩しながらも‥決して周囲に溶け込んでいくことはせず‥次第にべつの姿をカタチ作っていくようでした。
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!