耳垢大王のテーマ/

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よく考えずとも‥灯りも何もない暗がりのなかだ。洞の中をくぐってきたのもそこに何かを認めたのも、夢のなかよりまだ非現実的。 だから鏡像がたしかにおれの像だったというのも、なにかのカン違いだったかも知れない。 その像は輪郭を崩しながらも決して周囲に溶け込んでいくことはせず、次第にべつの姿をカタチ作っていくようだった‥ そのあいだにも何処からか、くぐもったような音声が聞こえてくる。 それは次第に意味のとれるコトバの羅列になり‥とうとうある物語を紡ぎだしていく。  
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