羅列/

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ぼくは、なり切れていませんでした。 [赤剥けの死体スーツ]に入り込んで巨大化しながら、地中奥ふかくから現したぼくのその姿は、もこもことしていかにも不格好そのものです。 しかしぼくは、その姿で戦わねばならないのです。 現れた街並みのその情景のなかで、デザイン的にそぐわない、ということの異質は、 これはもう、そのままでグロテスクというにしくはなく、 巨大化したマシュマロマンがニューヨークを歩く、というほどのキャラクター性の誇示やその安定感さえなく、 たとえどんなひとがそれを見たのだとしても、それが視界のなかで定着することなどありえない‥そうとしかおもわれないものなのでした。 ぼくはまさしく[ズレ]であるとか[齟齬]であるとかの‥くいちがいを体現しているだけなのでした。 そこになんら、及ぼすべき実効的なチカラというものを備えていなかったのです。 ヒーローに退治されるべき怪物、そのものです。
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