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イヤ、まてよ。
と、そこでぼくは思い惑いました。
あれが夢幻のたぐいにすぎないのだとしても、少しだけ‥その現実感というか、その成立の度合いの確かさみたいなものは、ぼくのなかで間違いがないのではないかという気がしていたのです。
それは、その世界は‥もしかしたらまったくの異世界そのもので、ぼくの生き物としての属性に、まるでそぐわないのかもしれないのに‥なぜか、それでもぼくのどこかで、酷くなじんだもののようにおもえたのです。
ホントに、ほんとうに全部がデタラメ?‥とそう、にわかには、その全てがでたらめだとは信じ切れない気持ちがありましたから。
だから、そうして‥ならばあれは何だったのだろうと考えました。
もしかしたら、あの一幕こそは‥ソレがイリュージョンでないものならば、まかり間違うとぼく自身の記憶?そのものの発露なのかも‥???
もしかして、そういう可能性はないものなのかな、と。
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