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「えー、ひっどーい!」
と、死んでも名前が変わらないものなら、たぶんまだ矢野由美子というのだろうその娘は叫びます。
「おかあさんったら、そんなこといってんの?」
「そうだよ。‥あのさ、おまえ毎夜おかあさんとこに帰ってるわけ?」
孝が、暑そうに喪服の上着を投げだしながら尋ねます。
「うん。なんかね、ふらふらっと」
「ふらふらっておまえ、夜は眠いからって消えちまうじゃないか」
「消えないわよーっ、そりゃそっちから見れば消えたみたいにみえるかもしれませんけどね、コレでもまだちゃーんと存在しておりますですよーッだ」
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