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孝ははなはだ怯みました。
由美子は真剣そのもので、その顔には、まさしく鬼気迫るものがあったからなのです。
霊界だか、冥界だか。化けてでてくるなんてのが、どういうことか。
‥いまだによくはわからないものなのでしたが、孝はまさしくそこに、冥界から這い上がってきたものの執念を見たように感じたのでした。
それが妄執と呼ばれるものなのか、どうか。
ただ、些か強烈に過ぎるそれは、孝自身の生と生活に対する危惧をも呼び起こすものとなっていくのです。
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