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それが貴重であるとか得難いものであるとか、そういう類いのものでもないのです。
あるのは‥ただもう、どうしようもないほど強烈な‥始末のわるさだけなのでした。
それは、指向する感情のうねりや、あるいはそのねじ曲がりぐあい‥といったようなものだったでしょうか。
とりあえず、亡者たちが彼女に見てとったのは、それだけだったのです。
しかし、それは彼らが欲していたものに極めてそぐわしいシロモノだったのかもしれません。
たしかに、彼らが必要としたものがそこにはあったのです。
問題とされたものは、たんにあつっ苦しいだけの‥鬱積された感情。その密度なのでした。
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