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そうですか。川上様が。
ここに来るように……と。
ではこちらに行らしてください。
お得意様のお願いですからね、断るわけには参りません。
どうぞ。横になられて。
それからこの布を枕の下に入れてください。
ここはなに? ですか。
お父様から何もお聞きになりませんでしたか。
ここは「夜語り」という店です。
何をする場所、ですか。
“夜を語っていただく”、場所です。
いいえ、語るのは僕ではありません。
もちろん、貴女でもありません。
語るのは「夜のモノたち」です。
さぁ……僕にもそれが何かは分かりません。
先代なら知っていたのかもしれませんね。
ただ、この紅い布の持ち主の夢を様々なモノが渡り歩き、一つずつ話を残していくようです。
この布は無数に存在すると云われています。
彼らが何故夢を渡るのか。何故でしょうね?
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