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俺は琴音を手に入れるまで誰でも利用する。
どんな手でも使う。
彼女にとって大切にしたいであろう初体験でさえも利用した。
『体の関係を持った』
その偽りの情報で、彼女の頭の中を俺一色に染め上げようと思ったからだ。
予想通り彼女は偽りの記憶に戸惑い悩み翻弄され、俺を強く意識していった。
彼女に更に意識させる為、そして俺の感触を彼女に覚え込ませる為。
何度も唇を奪った。
初めこそ彼女は小さな戸惑いと抵抗を見せたが、次第に拒もうとしなくなった。
それどころか、舌で軽く彼女の唇を撫でると自らその固く閉じた入り口を開けて迎え入れようとしてくれる。
彼女が恐る恐る小さく開けた入り口を無理矢理抉じ開けて口中を乱暴に掻き回しても、彼女は小さく体を震わせるだけで抵抗することはない。
その姿が可愛くて、愛おしくて……。
あの日、全てを忘れて彼女を抱こうとした。
まるで、本物の恋人のように――。
でも、彼女が強く手を握り締めて震えているのを見て、不意に思い出してしまった。
自分達の関係が、ただの「偽りの恋人」でしかないことを。
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