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「どうしても……駄目?」
艶を帯びた吐息交じりの切ない声。
その声は私の決意を大きく揺るがす。
ぐらぐら揺れる私の意志。
握り締めた手に再度力を込めて、崩壊しかけた決意を既の事で食い止める。
「ま、まだ……無理、です」
真っ直ぐ注がれる熱を帯びた眼差しを見ていられなくて思わず視線を逸らす。
だが、彼はそれを許してくれない。
私の両頬を包み込んだ手で、優しく、だけど拒否を許さず視線を戻される。
「こんなに、お願いしてるのに?」
お願いというには程遠い体勢で彼はそんな事を言った。
彼の部屋の彼のベッドの上。
私の体の上には彼の体が覆い被さっている。
その上、肘を付いた彼の手は私の顔をしっかり固定していた。
お願い、ではない。
「で、でも……心の準備が……」
「君だけなんだよ? 俺を喜ばせることを出来るのは……。
お願い……もう、限界なんだ……」
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