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つつっ……と爪の先で手の平を擽りながら私の瞳を見つめる。
手の平に身体中の神経が集中し、意識は全て彼へと向かう。
潤んだ瞳は私を惑わし操ろうとしている。
そう思ってしまうほど、彼の濡れた視線は私の体を熱くし自由を奪っていく。
彼はその艶のある瞳を細めた。
瞳の中の淡い光彩が歪む。
視線を落とした鳳院さんは、私の手の平に唇を寄せて囁く。
「君の今の気持ちそのものだよ。
――懇願、だ」
彼の唇が微かに触れ、その刺激が全身を貫く。
手の平から唇を離した鳳院さんは私を見つめた。
彼の唇がゆっくりと動く。
「君は今……俺にどうして欲しい?」
「……わ、たし……」
――触れて欲しい。
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