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「あ、昨日、カオリちゃんありがとねー。」
「カオリちゃん?」
「あー、藤さん。藤さん。」
「呼んどいて、お前、いねーし。」
「あ、ユキジ、待てって、ちょ……」
もう火種なんて俺の手の中で消えたタバコの吸殻を灰皿に放り投げる。まだ何か言いたそうな加持を置いて、喫煙室を出た。
カオリちゃんって……。
下の名前、呼んでんのかよ。
あーーー。
参った……、マジ参った。
もう、消えてくんねーかな、俺の鼻から瞼から。
[香り]も[カオリ]も消えてくんねーかな……。
デスクに戻って、コーヒーにクチをつけて、もう一度スケジュールに目を通した。
案件6つの動向チェックね……、藤カオリも入れると、俺が何とかすんのは7件か。
まだ何も始まっていない朝だというのに、疲労感にまみれてデスクに突っ伏した。
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