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ーーー……
細い細いチェーンを指輪で繋いだ手首。カオリは繊細なそれを壊してしまわない様に、左右の腕の距離をそっと縮めた。
「言っただろ?カオリしかいらない。って。覚えてる?」
つい、そのクチから色々言わせたくなる。
「お、覚えて、ます。」
溢れそうな涙も手錠のせいで拭えない。目の前の愛しい手首はふるふると揺れ続けてる。
震える両手をひとまとめに掴んで枕の上にゆっくりと倒す。同じ速度で、カラダをカオリに軽く重ねた。
うん、やっと……、
俺らの距離が近くなった。
「コレがずっとやりたかった。ホテルのバーでなんか出来ないだろ?」
絶対おまえ、泣くし。
「松田さん、ずるいです……、」
俺の好きな、
カオリの「ずるい」がやっと聞けた。
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