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ーーー……
動けない理由が出来てしまった私の両手を押さえ込む大きな手が熱いから、だから、身体がこんなに火照るの。きっと。
息が触れ合う距離で、目を細める松田さんの言葉を、溢れそうな感情を押し込めながら待っていた。
「じゃ、正月過ぎたら、カオリは名前を変えような?」
も、もう!?
「えっ!?」
「ご両親とこ、正月連れてってよ。挨拶行こう。」
枕の上に留っていた手を、松田さんはゆっくりと私の胸の上に誘導してくれた。両手を軽く組んで、この[甘い拘束]をしっかりと目に焼き付ける。
「きっと……、驚きます。でも、そんなに急がなくても……、」
「俺が、急ぎたいんだよ。」
「どーして……?」
「早く、全部欲しいから。」
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