第二章

6/8
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
帰りの航海はとても順調でした。 兎は女の子に早く会いたくて会いたくて、行きしの航海の時は船室で過ごすことも多かったのに、帰りでの船では甲板に出てまだ見えぬ郷里を見つめてました。 ようやくの三日目。 船が港に着きました。 兎は誰よりも先に船から飛び降り、荷物を抱え駆け出しました。 今日の雨はいつもよりとても穏やかでした。 まるで兎の帰郷を喜んでいるみたいに。 兎は真っ先に隣の老夫婦の家にやって来ました。 『コンコン!』 ドアをノックし扉の前で待ちます。 出迎えたご婦人に案内され、兎は奥の部屋と向かいました。 奥の部屋の扉を開けると、そこには背を向け机で絵を書いてる女の子がいました。 扉が開いたのに気付いた女の子は、振り向くと目の前にいる兎にびっくりし、思わず抱きつきました。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!