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レインコートを身に纏い、受付にやって来た兎は城の衛兵から少し笑いながら質問されました。
「あなたが試験をうけるのですか?魔法は使えますか?」
兎はコクンと首を縦に振り、背中に背負った小さなリュックから尖端に丸い宝石がついた小杖を出し横にさっと振りました。
すると、そよそよと衛兵に向かい風が吹きました。
「!!」
衛兵はビックリしたのち、無言で受付の署名を兎に勧めました。
無事に受付の手続きを済ませた兎は、前方の長い階段の上段を眺めていました。
レインコートから流れる雨が兎の頬に落ちたのも気にしないで。
階段を上ると、大きな扉はすでに開かれており、広間全体を見ることが出来ました。
兎はレインコートを脱ぎリュックに詰めて、てくてくと他の受験者の輪から少し離れた場所、柱の脇に向かいました。
しばらくすると、試験の案内する試験官が次々と受験者を奥の部屋へと誘導を始めました。
兎は手続きが遅かったため、一番最後に奥の部屋へと消えていきました。
受付の衛兵同様、試験官は兎を馬鹿にした目で乗り気の無い様子で試験を開始しました。
試験の内容は極秘なので、これ以上は覗けないみたいです。
その後、兎の試験の結果がどうなったか。
ドームを覗いてみればわかりますよ。
ほら、あそこで光が放たれたでしょう。
その光の元を辿ると、他の光造師の横で誇らしげに杖を振るう兎が。
街外れの兎の家を覗いてみれば、小さな女の子が兎のためにスープを作ってますよ。
後から街の人々に聞いた話だと、今年の合格者は兎1匹だけだったとか。
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